2010年6月14日月曜日

夜な夜な話 2 王様の願い事

昔昔、バッカスというお酒の神様が旅先で困っているところをその国の王様が助けてさしあげました。バッカスはたいそう喜び、王様に「お礼にひとつあなたの願い事をかなえましょう」といいました。王様はしばらく考えてから「では私の手に触れるものはみな黄金になるようにしてください」といいました。バッカスは一国の王がなんてくだらん願い事をするのかと内心がっかりしましたが、約束は約束です。「よろしい、ではそうしましょう、さようなら」そういってバッカスは去っていきました。
王様は試しにそのへんに生えていた葉っぱをちょん、と触ってみました。するとすべては金にかわりました。「やったぁ」王様はこれを皮切りにあちこち触り金にしては大喜び。
やがて夕食の時間になりました。王様はワインを飲もうと杯を取ると「あっ!」杯もワインもすべてが金にかわりました。パンを手にとるとパンは金塊になってしまいました。ナイフもフォークも料理もこんな調子ですべてが金に。王様はおなかがすいたままうなだれるしかありませんでした。そして「自分はなんておろかな願い事をしたのか」と初めてそれに気づいたのです。王様はバッカスにそのことを伝えなんとか元に戻してほしいと頼みました。バッカスは「よろしい、泉に入って身を清めなさい、あなたがまじめに反省しているなら元にもどっているでしょう」といいました。王様は言われたとおりにしようやく元にもどった手でワインをのみパンを食べました。「ああなんてありがたいことだ」と涙をながして感動しました。チャーチャーチャーーン。
余談・この話を読み「食事は家来に食べさせてもらえばいいのに、あほやな。」と思ったのは小学校3年生のときの私です。

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