2009年11月7日土曜日

ヴィヨン・・・みたび

「ヴィヨンの妻」という作品は未婚の時に読むのと既婚になってから読むのとさらに子供が生まれてから読むのとでこれほど解釈がちがうだろうと予測される作品はめったにないんじゃないかと読後すぐに思った話。
ちょっとばかり頭はいいんだろうけど小理屈や勝手な哲学あたためてばかりで「夫」としてはすこぶる出来の悪い男、の妻になった女性が飲み屋でかなりの金額踏み倒したその夫の変わりにその店で働く話なんだけどこの妻が弱るどころか働くことによってどんどん生き生きしてくるわけ。まるで
水を得た魚のように。そして看板娘みたいになる、この部分だけならコメディーに等しいかもしれません。
子供がいない人はただ強い女性だなあと感心しながら読みすすめるかもしれない、でも私はこの辺の場面を「わかる、わかる」と思いながら読んでいました。せまい家でなに考えてるのかわからん子供と大した娯楽もないままに終日毎日過ごすのがどれだけのストレスか(まあこれは私の所感だけど)わかってからとわからないままだと違うということです。そして毎日が精神的に充実&安定してくると少々の夫の馬鹿さ加減も受け流せるということ。忙しかったらそれどころじゃないのだろうな。この辺は「できのよい夫」をもった私にはちょっと理解できないんだけど。読む人がどんな年代か性別かによって味が違うおもしろい作品だとおもってました。

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