ある日、まあその娘の名前を仮にアンヌとしましょう。アンヌはたまたま町の教会に真夜中灯りがともっていることに気がつきます。このあたりのいきさつは子どもの頃の私の記憶にありません、あしからず。
「あら、こんな時間にミサがあるのかしら?」
アンヌは出かけてみました。もうすでにたくさんの人が集まってこちらに背中を向けて座っていました。不思議に思いながらもアンヌは自分も列席しようと思いしばらくその場におりましたが、いつもとは違う、なじめない雰囲気が気になっていました。
そのときです、アンヌは腰をぬかすほどおどろきました。つい先日亡くなった近所の女性が近くに座っているのです。恐怖に震えているとポンポンッと後から肩をたたかれました。振り返ってみるとやっぱり青白い顔をした若い女性がこちらを見ていました。
「ここはあなたのくる場所じゃないの。ここにいるのはもうなくなった人達よ」その人は言いました
「このマントをかぶってそっと誰にも気づかれないようにここから出て行くのよ」そういって自分の着ていたマントを脱いでアンヌに貸してくれました。アンヌは言われたとおりマントをかぶりそっと教会の外にでようとしました。その時ひとりの死者と目があってしまいました。恐ろしい顔で叫びました。「ここに生きた人間がいるぞ」そのとたん背中をこちらに向けて座っていた人達が一斉に振り返りました。キャーっ。と叫んだかどうかは知りませんがアンヌはあわてて走り出しました。みんながアンヌの着ているマントを掴みます。やめて~アンヌが叫んだときマントが脱げて教会の外に出ることができました。
夜が明けて、果たしてあれは夢だったのかとアンヌは教会に改めて行ってみました。そこにはズタズタに破れたマントが落ちていました。
ブログじまい
5 年前
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