2009年8月19日水曜日

3年ぶりの読書「利休にたずねよ」

夫の実家に「利休にたずねよ」という本がひょいとおいてありました。山本兼一という人の著書でこれで直木賞をとったんだよと帯にありました。3年ぶりの読書でした。これも何かの縁、と開いてみましたら最後、一行一行先を急ぎたい面白さがあり、滞在期間最終日まで駆使して全部読んで来ました。

この本はとても効果音が豊富。心情とか状況説明とか長くなりそうな時パッといろんな音が出てきます。活字で音なき音を読むのは楽しいもんだなあと思いました。

中でも一番よく登場するのが茶室で沸くお湯の音。時にグツグツ荒っぽかったりコトコト穏やかだったり。茶の湯をやったことがないのでこのへんは予想できても実感ができないのが残念でした。そこそこ茶道をしている人はもっと楽しめる本かもしれません。

秀吉の怒りを買って利休は切腹させられるのですがその直前のシーンから話が始まり、切腹のひと月前、ふた月前、一年前と時期がさかのぼった各章があり、19歳の利休までさかのぼってから最終章で絶命です。

この人「ややこしいおっちゃんや~」というのが率直な感想です。心ならずでも早々に謝れば命はほぼ確実に救われたようです。秀吉の側近にも利休の弟子がいて、そういった人達が形だけでも謝罪するようにと切に望むシーンが何度かありました。
時代小説を読んでいると「死んだほうがまし」を実行するシーンがよく出てきます。
日本独特のこういう考え方を最初に思いつき、影響させた人は罪だといつも思います。

日常では小皿の上の漬物の位置までこだわって奥さんをストレスに追い込んで、それも一切口に出さずそう思っているというのがイヤラシイ。茶道具を置く位置は畳のひと目単位で美意識があるらしい。二畳や一畳半の茶室に複数人招く。トイレより狭くないかい?でもみんな利休のきめ細かい工夫に触れ極上のひと時を過ごす、とあります。このあたりの感覚が茶道してない私にはわかりませんが予想だけで読み進めるのもこれまた一興というところでしょうか。

この一冊、有意義な一期一会でございました。

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