2010年11月18日木曜日

夜な夜な話#5:幼児向 犬神家の一族

昔々あるところにとてもお金持ちのおじいさんがいました。
おじいさんはもう長くはないようでした。
おじいさんが寝ている周りに松子・梅子・竹子という欲深な3人の娘があつまりました。
「ねえお父さん、お父さんが死んだら私達にこの大きなおうちやたくさんのお金や宝物をくれるんでしょう?誰に何をくれるのか教えて」
おじいさんはその質問には答えずだまって家来がもっている手紙を指差してそのまま亡くなってしまいました。3人の娘は家来に言いました。
「ねえ、早くその手紙読んで。誰に何がもらえるのか知りたいわ」
「しかし家族の皆様が集まってから手紙を読むようにとのご主人様がおっしゃっていました」
「あらもうみんな集まっているじゃないの」
3人の娘たちの子どもや夫もそこには大勢集まっていました。
「いえ、まだ松子様の息子、スケキヨさんがいらっしゃいません」
「スケキヨは戦争で死んでしまったのではなかったの?」
「いえ、まもなく戦争から帰ってこられるようです」
家族達は何日かスケキヨの帰りを待ちました。
そしてやっと戦争から帰って来たスケキヨは顔におおきなやけどを負ったのを隠すため
真っ白なマスクをかぶっていました。みんなとても気味悪がりました。
「あなたは本当にスケキヨさんなの?マスクを脱いでちょうだい」
竹子と梅子がいいました。松子は怒りました。
「これは本当にスケキヨよ。母親の私が言うのだからまちがいないわ」
しかしみんなが疑うのでしかたなくスケキヨは白いマスクをとりました。
「ぎゃー」みんなはあまりにも恐ろしい顔に驚きました。
マスクをぬいでもわからないくらいにひどいやけどを負っていたのです。
これではどうしようもありませんでした。
「とにかく手紙を読みます。」家来がそういって封筒を開きました。
「お金も家も宝も娘達にはあげません。」
「えぇ~っ!」
みんな怒り出しました。それからどんどん屋敷では恐ろしいことが起こりはじめました。でも何がおこったかは今は内緒です。大人になってから興味があったら調べてください。


それからある日、一人で部屋にいるスケキヨを訪ねて松子はいいました。
「私はね、みんなの前ではおまえはスケキヨにまちがいないって言っているけど時々そうじゃないようなきがするんだよ。お前はなにか変わってしまった。お前は本当にスケキヨなのかい?」
「ふっふっふっ・・・」その時いままで何もしゃべらなかった白いマスクのスケキヨが急に松子の顔を覗き込んで言いました。
「そうさ、俺はスケキヨではないさ。お前達3人にいじめられ追い出された女の一人息子さ。」
スケキヨの本当の正体はシズマといって昔、3人の娘達にいじめられた女の人の息子だったのです。
松子は叫びました。
「私の大切なスケキヨはどこにいるの?」
「俺が部屋に閉じ込めているのさ」
「じゃあ本当のスケキヨをここまでつれてきなさい。なんてひどいことをするの。」
「おばさんも昔、俺のお母さんにひどいことをしたじゃないか!仕返しだよ。おばさんたち全員を追い出してやる」そういって笑いました。
松子は驚きのあまり気をうしなってしまいました。

そこへ本当のスケキヨが現れました。
「ああ~スケキヨ!スケキヨなのかい?無事に生きていたのね。お母さんは嬉しい」
「お母さん心配かけてごめんなさい。ぼくはシズマにひどい目にあっていたので会えなかったのです」
「ああ、でも帰ってきてくれたんだね・・・」それから松子は毒を飲んでしんでしまいました。スケキヨを助けたくて松子はシズマを殺してしまったのです。スケキヨはいつまでも松子に抱きついてないていました。

大きなお屋敷とたくさんのお金と宝物がその後どうなったのかは誰もしりません。







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