2009年9月15日火曜日

もしも添乗員が寝坊をしたら

信用と実績を得るには長い時間とたゆまぬ努力が必要なのに、それを失うのは一瞬だなあ、と最近テレビを見ていて思うのです。もっともこの言葉は時代を問わず誰彼言ってきたことですね。ところで添乗員が絶対できない失敗ってなんだかわかりますか?ふふん、まず朝寝坊。もしも添乗員が寝坊をして時間になっても集合場所に登場できないということになるとしましょう。その添乗員はなにはさておき背筋を凍らせながら口の中に異様な乾きを感じながら即刻旅行会社に連絡。派遣添乗員の場合は所属事務所にも連絡。お客さんの受付はなんとかなります、そういう事態も範疇に入れ各集合場所に一人か二人アシスタント的な人員を配置(リタイア済みのおじさん等)しています。旅行会社からその人に連絡がいき寝坊添乗員のお客さんの受付をやってもらいます。お客さんが全員集まりあとは出発をまつばかり、この間に命からがらにも現れることができたならかなりラッキーバージョンですが無情にも飛行機・新幹線・バスそれぞれの出発時間に間に合わないというステージに移行するとこんどは旅行会社のちょっとばかりお偉い人が現場に登場、謝罪ツアーの幕開け、たとえば飛行機を使って端っこの方へ行くツアーなら最悪です。とにかく添乗員は自腹で飛行機のチケットを買い、ツアー合流だけを念頭に携帯で連絡なんか取りながら現場に向かいます。どこで合流できるかで自腹金額も変わってきます。もちろんその間冷や汗と絶望感で一杯一杯な気分。そしてお客さん&上司と合流、ひたすら謝りまくります。お客さんには直接おおきな迷惑はかかっていませんから(多分)まずまずとしても上司にはひたすら謝りまくった後、上司がもとの職場に戻る全ての交通費を請求されます。そして万事めでたし一件落着ということになるのですが、ここまでの自腹金はいくらなのかなあ~。これは私が実際耳にしたケースですがひと月の給料がなきに等しくなったとか。たかが朝寝坊なのですが旅行業界ではそれだけにとどまらず大きな語り草となり仲間うちの添乗員には「ほらあの人よ、こないだ寝坊した」「あ~あの人ぉ?」的な陰口をしばらく全員一回りするまで言われ、その後回ってくる仕事はしばらく地味だったり(ここはケースバイケース)。そしてそれまでの何年ミスがなかろうがあっさりゼロになった信頼と実績をまた一から積み上げることになります。それには短かからぬ時間が必要となることでしょう。自慢ではなく当たり前のことながら、私、「寝坊だけは」しませんでした。街中にすんでいる添乗員は出発前にかけつけセーフになった人が何人かいますが私は神戸の山奥にすんでいましたからそういう理由で失うもののことを考えるとどうしたって寝坊だけはできないのでありました。ただ人は一生に一度も寝坊せず生きていくことができるのでしょうか。午前4時5時あたりまえのこの業界で。

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