2010年3月9日火曜日

桜餅の話

関東に来て最初の春のこと、それは小田急:玉川学園前の駅最寄だったと記憶しています。桜餅を買おうと和菓子屋さんに入りました。「桜餅○個ください」、浅い木箱(あの箱、名称あるのかしら?)にきちんとならんだ桜餅は私の期待通り。「よしッ」と思うと同時に注文していました。のれんの奥からでてきた店員さん「今から作りますので少々お待ちください」、とすぐまた奥に入っていきました。それがあんまりすぐだったから声をかけそびれてしまいました。(あれ?この桜餅はあかんの?)お客さんは私だけでした。それにしてもなかなかの時間待ちました。目の前の桜餅を見つめ首をかしげながら。静まり返った店内で5分位は確実にすごしたように思います。やがて「お待たせしました桜餅○個ですね」店員さんが手に桜餅を持って現れました。あ~っ!あ~っ!想定外の事態でした。店員さんの手の中にあるそれは・・その桜餅というのは・・・関東風桜餅!あんこを皮で巻いたタイプの桜餅だったのです。一瞬どうしようかと思いました。できたての関東タイプが私の注文分作られてそこにあるのです。しかし関東風と関西風?両方あるのなら「どちらの桜餅ですか」と確認してもらえるんじゃないのかな?木箱の中の桜餅、よくよく見ると「道明寺」どうみょうじ!と小さく書いてあったのです。そこは食品知識豊富な私です、すぐピンときました。過去に桜餅の作り方を料理教室で教わったことがあったからです。道明寺粉という、もち米を蒸して乾燥させた「粉」というより「粒」それでつくる桜餅。その道明寺からつけて関東風(こちらでいう桜餅)と区別しているのですね。納得。しかし私はこの関東風になじみがない、食べた記憶がない。一瞬迷いましたがそこは私のいつもの「ま、いっか」であたかも最初から「それ」を注文していたかのように受け取りました。とっさに「これでよかったぁ~」とほんわかした気持ちになりました。薄い包装紙を通して出来立てホヤホヤの温かみが伝わってきたからです。注文してから作ってもらったというのがなんだか京都を感じなつかしくなりました。このあったか桜餅、それが私と「関東風」との最初のであいでした。それはとろける様な美味。なぜ今まで食べる機会がなかったのか不思議になるほどに。今では「道明寺」ともどもどちらも私を誘惑するこの季節、春の到来です。ちなみにこうして東西桜餅の両方販売するお店は「桜餅」と「道明寺」で区別しているお店が多いです。

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